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建礼門院右京大夫集 現代語訳
196 ぬれそめし
この人(平重盛)も冗談を言って、「草のゆかり(恋人に縁のある者のこと。恋人とは重衡の甥である資盛のこと)をどうして思い捨てるのですか。ただ(資盛と)同じことと思ってください」と、常に言われたので、
ぬれそめし袖だにあるを同じ野ゝ露をばさのみいかゞわくべき
濡れはじめた袖だけでも思い悩んでいるのに、同じ野のゆかりであるあなたのためにどうしてそのように涙に濡れましょうか。
メモ
平重衡 平清盛の五男。
『新勅撰和歌集』恋三に所収。